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Tatsumi Iwai 岩井巽 生ま

2025/01/22

生ま

TATSUMI IWAI
「馬の町」と呼ばれる青森県五戸町(ごのへまち)には、馬に感謝する神社や風習が数多く残っている。しかし自動車の普及と共に馬に乗る人は減り、現在は馬肉が町の名物になっている。

 

馬は30歳まで寿命があるものの、4歳前後で屠畜され馬肉になってしまう。馬の種を次の世代に残していくことためには、繁殖させながら馬肉として食べていくしかないと牧場主は言う。

 

私は五戸町の家系で、祖母がつくった馬肉鍋を食べることもあった。馬肉を食べたあとの皮が捨てられていることを知り、その皮を「革」にする活動を始めた。

 

屠畜場に足を運び馬を捌く仕事を目の当たりにし、動物を食べることの意味深さや、儚さを感じずにはいられなかった。しかしそれとは裏腹に、できあがった真っ白な革はあまりにも美しいものだった。

 

この時代の綻びを人の手によって繕うことはできるのだろうか。そういった想いから、一枚の革の形を活かした衣服を仕立てた。あらかじめ形を定めずヤジリで穴を開け、アカネで染めた刺し子糸で革を結んだ。試行錯誤の痕はアカネ色に滲み、馬を捌くことの悼み(いたみ)を私自身が追体験するようだった。

 

こうして自然と姿になった白いローブは、かつて人と動物が支えあっていた時代の祭司が纏うローブのように見えた。このローブの糸を解くと一枚の馬皮の形に戻る。この皮がまた別の誰かによって結ばれるとき、どんな願いが込められるのだろうか。

 

  素材:馬革, 刺し子糸, 馬具

  Photography by YASUNARI KIKUMA / ©︎ FASHION FRONTIER PROGRAM 

 

 

Tatsumi Iwai 岩井巽

Instagram:@gobu_japan

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