ARTIST
MANAGEMENT

Julia Moser Panta Rhei. Growing colours for flowing waters / Ephemeral iron. Aesthetics of decay

FFP2024

Ephemeral iron. Aesthetics of decay

JULIA MOSER
塩、金属、錆、染色、炎、そして美。儚さ、価値のないものの中の価値、変化する要素たち…

 

私のプロジェクトは、一見すると荒々しく厳しく、醜い、あるいは価値がないように見えるものの中に隠れた予期せぬ美しさについて探求しています。それは、時間の経過を物語る色彩や、その起源の物語を思い起こさせるものです。

 

私は、地元の製鉄工場から生じた金属の「山」が広がる土地をさまよいます。

 

製鉄過程で生まれた残余の金属、初見では価値がないように見えるそれらのひとつひとつは、注意深く見つめられ、輝く場を与えられると、それ自体がアート作品のように感じられます。私の衣服制作では、それらの金属片にその「場」を与え、それを衣服の留め具として取り入れることで、衣服を構成し支える不可欠な要素として活用しています。

 

同時に、地元の塩鉱山から生まれた廃棄繊維を再利用したオリジナルのテキスタイルも使用しています。この塩鉱山は、私たちの祖先であるケルト人が塩を採取していた場所であり、オーストリアで初めて鉄製の道具を使って塩を採掘した歴史を持つ場所です。塩には保存性があり、過去の宝物や祖先の歴史を明らかにしてくれます。鉱山から発掘された古い金属製の道具は、私が選んだ「金属の山」の構造や金属片を思い起こさせます。

 

また、塩鉱山の訪問者が着用していた白い防護服は、時間と使用の経過によって錆や汚れが付着し、まるで傷跡のように時間の痕跡を示しています。通常は望まれないこれらの汚れの現象ですが、私のプロジェクトでは、時間によって育まれた色彩の美しさに目を向けています。意図的に錆による染色や火を用いた素材の焼き付けを行い、鋼の生産を連想させる手法で独特の表面構造と色彩を持つテキスタイルを生み出しました。それは金属片の粗さと調和し、独自の美しさを放ちます。

 

環境に有害な化学薬品や大量の資源を必要としない染料を探求する中で、錆びた金属道具を使った一種の絞り染め技法で染色を行いました。通常の絞り染めでは、染色後に生地を絞るための糸が見えなくなりますが、私の染色過程では生地を絞るために使われる金属自体が色彩や模様を生み出す要となり、その過程に独自の痕跡を残します。

 

このようなプロセスを経て生まれた作品は、作業服にインスパイアされたユニセックスでリバーシブルなデザインを持ち、過去と現在の労働者や職人の重要性に焦点を当てています。

 

  素材:廃塩山防護服(綿)、錆染めプリーツ織物(半合成)、金属製品

  Photography by YASUNARI KIKUMA / ©︎ FASHION FRONTIER PROGRAM 

FFP2023

Panta Rhei. Growing colours for flowing waters

julia moser
バクテリアによる染色は、節水につながり、有害な化学物質を使用する必要がないため水を汚さず、極めて環境にやさしい。テキスタイルの染色に色素を生成するバクテリアを使用するという以前からの私の研究を基に、このプロジェクトではバクテリアの色素生成をテキスタイルの染色に使用するだけでなく、バクテリアの増殖をファッションやテキスタイルのデザインそのものに取り入れた。例えば、自分で採取した水のサンプルから分離したBacillus mycoides(バチルス・ミコイデス)菌の形状が、熱によって操作されたテキスタイルの表面に反映されている(染色工程の後、熱処理によってバクテリアを死滅させなくてはならないという事実にも基づいている)。本作品は内容的にもデザイン的にも、新鮮な水を保全するという問題に取り組んでいる。ペットボトルをリサイクルしたテキスタイルを再利用し、ウィーンのドナウ川から分離されたJanthinobacterium lividum(ジャンシノバクテリウム・リビダム)というバクテリアを生地の染色に使用することで、ほとんど水を必要とせず、染色中も染色後も水を汚さない染色方法を実現している。通常、合成繊維を染めるには大量の化学薬品が必要であり、この場合、合成繊維をリサイクルすることがどれほど持続可能なのかという疑問が残る。しかし、使用されている細菌株は、有害な化学薬品を使用せずに合成繊維を着色することにも成功している。 ファッションとテキスタイルのデザインの形も同様に、水の要素に基づいている。エネルギーのある滝や自然の力を想起させ、水の質感やエネルギーを感じ、体験したような瞬間を詩的に呼び起こすことを目指している。自然を守ることを問う前に、まず自然への親しみとつながりがなければならない。従って、この衣服は感情を呼び起こし、自然と真実への憧れを呼び覚まし、思考の糧を提供することを目的としている。 モデルは靴の代わりに裸足で石の上に立ち、自然との直接的な触れ合いを通して自然とのつながりを体験する。通常、瞑想の際に使用されるこの石は、ドナウ川で採取され、高度な瞑想法を教えるフランツ・カインツが特別な研磨工程を経て加工した。衣服自体には、細菌株を採取するための道具が入った隠しポケットがあり、これもまた自然との交流へと誘うはずだ。 バクテリオグラフのエーリッヒ・ショプフ、リンツ芸術大学のCrafting Futures Lab、リンツ・ヨハネスケプラー大学のポリメアサイエンス研究所に感謝する。

 

  素材:ペットボトル由来のリサイクル・ポリエステル、デッドストックのポリエステル生地、ドナウ川の石

  Photography by YASUNARI KIKUMA / ©︎ FASHION FRONTIER PROGRAM 

Julia Moser

メールアドレス:julia.moser@kunstuni-linz.at

Instagram:@growingpatterns.livingpigments

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