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未来のクリエイターへエール――審査員によるトークセッション

未来のクリエイターへエール――審査員によるトークセッション

授賞式後には、審査員によるトークセッションが⾏われました。これまでの5年間を振り返るとともに、これからの FASHION FRONTIER PROGRAM や未来のクリエイターに何を期待するのか。審査員の⾔葉の中に、そのヒントがありました。
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FASHION FRONTIER PROGRAM が始まった 2020 年頃、ファッション産業の環境影響を懸念する声が⾼まりました。

 

その解決策として、環境配慮型素材の使⽤やリサイクル/アップサイクルに注⽬が集まりました。FASHION FRONTIER PROGRAM の応募者の中でも素材やテクニックによりサステナビリティを実現しようとする傾向がありました。

 

しかし、それに加えて個⼈的な感情と社会を結び付けたモノづくりを⽬指す応募者が増え、 「5年経った今年、クリエイティビティと社会に向き合う各⼈のスタンスが、感情を揺さぶられる形で表れてきました」(渡辺三津⼦さん)と、深化していることが語られました。

 

また「これまでのサステナビリティの議論は、服をまとうことの喜びやコミュニティーのつながりについての視点が⽋如していたように思います 。⾃分たちのルーツや気候⾵⼟など、⾃分事化した中でどう未来につなげていくか。このプログラムの中ではすでにその萌芽が⾒られます」 (宮⽥裕章さん)と、FASHION FRONTIER PROGRAMが創造性や⽂化を編み込んだ未来の社会を⾒据えたプログラムであることも⽰されました。

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「デザイナーとして、モノを⽣み出す責任をかみしめながら作ることの⼤切さを感じています」と話す中⾥唯⾺さんは、「モノづくりのプロセスにおける意思決定の⼀つ⼀つを、少しずつでも変えていくと、未来が変えられる」と、FASHION FRONTIER PROGRAM が単なるアワードではなくエデュケーションを⼤事にすることの意義に⾔及しました。
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さらに、これまでの参加者(受賞者、審査員、サポーター企業など)のつながりが蓄積し、「FASHIONFRONTIER PROGRAM がひとつのコミュニティーになってきた」(宮⽥さん)ことも、成果として指摘されました。

 

「FASHION FRONTIER PROGRAM の取り組みは社会の中に編み込んでいくと、より意義深いものになる。未来につながる場を提供するプロジェクトになってきています」と宮⽥さんは続けました。

 

続けて栗野宏⽂さんは、 「FASHION FRONTIER PROGRAM はサステナビリティをより深く掘り下げ、いい意味でラディカルなアプローチにまで達しています。クリエイションは問題解決能⼒とも⾔い換えられます 。これからのファッション産業は、哲学や社会システム、資本主義に対してもクエスチョンマークを突き付けるところまで下りていき、答えを探しに⾏くことなのでしょう」と述べました。

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FASHION FRONTIER PROGRAM はファッション以外のバックグラウンドを持った応募者が多いことも、他のファッションアワードとの相違点です。審査員もファッションだけでなく、芸術や環境など、多様な専⾨家が集まります。
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「今、不可⽋だと感じるのは、卓越性(excellence)の再定義です。かつて卓越性とは、いかなる犠牲を払っても献⾝することと同義とされることがよくありました。今⽇、真の卓越性とは、明確なビジョンと関わる⼈々、そしてより広い世界に対する責任感の組み合わせによって測られるべきではないでしょうか。創造性と社会的責任の視点は対⽴するものではありません。むしろ、社会的責任を考えることで創造性を研ぎ澄ますことができます。 」と述べたのは、振付師でオペラディレクターのナニーヌ・リニングさんです。

 

また現代美術家の寒川裕⼈さんは、「応募者と年齢が近いこともあり、制作における難しさや思考プロセスなど、分かることがあります。なによりも自身が継続すること、そして自らがサステナブルであるかを重視していただきたい。 自身の可能性を信じ、続けることが⼤事だと思います。負荷がかかることですが、今年のファイナリストはこの⾯でも質が⾼かったと思います」と賛辞を送りました。

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FASHION FRONTIER PROGRAM が社会的責任と創造性の両⾯から、より良い未来を⽣み出すための発信を続けるには、どんなことが必要なのでしょうか。

 

トークセッションの結びのメッセージは、FASHION FRONTIER PROGRAM の未来だけでなく、ファッション産業の未来を創り出すための重要な⼿がかりがあるように感じます。

 

渡辺さん「最近、若い⼈が、『意味のあるものを⽣み出せるのか』と、服作りに恐れを持っています 。それは素晴らしい問いであり出発点となります 。クリエイティビティは社会に対する意思表⽰。恐れを持って⽴ち⽌まるのではなく、恐れを出発点に、勇気をもって踏み出し、継続して欲しいと思います」

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宮⽥さん「⽣成 AI でクリエイターの役割が劇的に変わっていくでしょう。⽣成 AI 以降、何が⼤事なのか。それは問いを⽴てることです 。FASHION FRONTIER PROGRAM はそれをド真ん中でやってきました。⼈は服をまとうことから逃げられません。服を着ることがどう未来につながるか、⼀緒に考えていく場としてFASHION FRONTIER PROGRAM が機能していくことを期待します」

 

栗野さん「⽣成 AI を使って間違いを少なくすることは間違いではありませんが、クリエイティビティや⼯夫がなくなれば、それが⼀番の間違いです。皆さん、間違いを犯してください」

 

寒川さん「継続することを⼤事にしていただきたい。⾃分のやってきていることの可能性を信じ、哲学を持って、続けることが⼤事だと思います」

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ナニーヌさん「クリエイションに⼤事なことは、⾃由であること、本物であること、そして愛すること、楽しいことをやることです。それはどこにあるか?⾃分がどこに⼀番喜びを覚えるか。それがすべてです」

 

中⾥さん「グランプリの林ひかりさんのクリエイションの素晴らしかった点は、⼈と服の関係性をデザインした点だと思います。素材、技術、シルエットが出尽くす中で、ひとつの新しい道筋を作った。こうした新しい視点は、すぐに経済合理性と整合しないかもしれませんが、そのようなものづくりが存在できる場があることが未来に向けて重要であると思います」

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