
その解決策として、環境配慮型素材の使⽤やリサイクル/アップサイクルに注⽬が集まりました。FASHION FRONTIER PROGRAM の応募者の中でも素材やテクニックによりサステナビリティを実現しようとする傾向がありました。
しかし、それに加えて個⼈的な感情と社会を結び付けたモノづくりを⽬指す応募者が増え、 「5年経った今年、クリエイティビティと社会に向き合う各⼈のスタンスが、感情を揺さぶられる形で表れてきました」(渡辺三津⼦さん)と、深化していることが語られました。
また「これまでのサステナビリティの議論は、服をまとうことの喜びやコミュニティーのつながりについての視点が⽋如していたように思います 。⾃分たちのルーツや気候⾵⼟など、⾃分事化した中でどう未来につなげていくか。このプログラムの中ではすでにその萌芽が⾒られます」 (宮⽥裕章さん)と、FASHION FRONTIER PROGRAMが創造性や⽂化を編み込んだ未来の社会を⾒据えたプログラムであることも⽰されました。



「FASHION FRONTIER PROGRAM の取り組みは社会の中に編み込んでいくと、より意義深いものになる。未来につながる場を提供するプロジェクトになってきています」と宮⽥さんは続けました。
続けて栗野宏⽂さんは、 「FASHION FRONTIER PROGRAM はサステナビリティをより深く掘り下げ、いい意味でラディカルなアプローチにまで達しています。クリエイションは問題解決能⼒とも⾔い換えられます 。これからのファッション産業は、哲学や社会システム、資本主義に対してもクエスチョンマークを突き付けるところまで下りていき、答えを探しに⾏くことなのでしょう」と述べました。


また現代美術家の寒川裕⼈さんは、「応募者と年齢が近いこともあり、制作における難しさや思考プロセスなど、分かることがあります。なによりも自身が継続すること、そして自らがサステナブルであるかを重視していただきたい。 自身の可能性を信じ、続けることが⼤事だと思います。負荷がかかることですが、今年のファイナリストはこの⾯でも質が⾼かったと思います」と賛辞を送りました。

トークセッションの結びのメッセージは、FASHION FRONTIER PROGRAM の未来だけでなく、ファッション産業の未来を創り出すための重要な⼿がかりがあるように感じます。
渡辺さん「最近、若い⼈が、『意味のあるものを⽣み出せるのか』と、服作りに恐れを持っています 。それは素晴らしい問いであり出発点となります 。クリエイティビティは社会に対する意思表⽰。恐れを持って⽴ち⽌まるのではなく、恐れを出発点に、勇気をもって踏み出し、継続して欲しいと思います」

栗野さん「⽣成 AI を使って間違いを少なくすることは間違いではありませんが、クリエイティビティや⼯夫がなくなれば、それが⼀番の間違いです。皆さん、間違いを犯してください」
寒川さん「継続することを⼤事にしていただきたい。⾃分のやってきていることの可能性を信じ、哲学を持って、続けることが⼤事だと思います」

中⾥さん「グランプリの林ひかりさんのクリエイションの素晴らしかった点は、⼈と服の関係性をデザインした点だと思います。素材、技術、シルエットが出尽くす中で、ひとつの新しい道筋を作った。こうした新しい視点は、すぐに経済合理性と整合しないかもしれませんが、そのようなものづくりが存在できる場があることが未来に向けて重要であると思います」

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