ファイナリスト8名それぞれの軌跡を描いた動画とともに、プログラムの半年間を振り返り、デザイナーとしての今後に想いを馳せたコメントをご紹介します。
一人ひとりの歩みと決意が込められた内容となっておりますので、ぜひお読みください。
今回はファイナリスト・受賞者4名をご紹介しています。
ぜひ後編も合わせてお読みください。
アリシア・カマイ / Alicja Kamaj
作品名:身を任せる – Surrender
ーーFFPを通して最も印象に残っていることは?
このプログラムは、最終的にはファッションを創造することを目的としていますが、あえてデザインの細部や美的な選択にはあまり重きを置かず、むしろ「なぜ創りたいのか」「何を伝えようとしているのか」に焦点を当てていると感じました。プログラムの核は、現状の中で創造に対して責任を持つこと、そしてその立場からどう前進できるかという意識を持つことについて洞察を得られる、というところにあります。
この旅も終わりを迎え、私はこのアプローチに深く感謝しています。デザインや創造において、自分のスキルや専門性の信憑性が上がり、アーティストとしての自分自身が尊重されるようになったと感じています。同時に、この考え方をプロフェッショナルな文脈やファッション業界の中でどう実現するかについて考え、作品以外の部分でも広い視野を持てるようになりました。
一般的に、コンペティションでは、参加者は主に最終的な作品の出来栄えにより評価されます。しかしFFPでは、プロセスと、創造性が特定の課題にどう取り組めるか、アイデアがどう進化するかに重点が置かれています。また、最初のアイデアから完全に変化することさえも許容され、実験や不確実性、失敗のための余地が与えられます。これこそが、このプログラムが他と一線を画するものにしている要素です。
ーーFFPに参加して、自分自身に起こった変化は?
デザイナーとして、あるいはより正確に言うならば、アーティストとしてのアイデンティティが、より強固になったと感じています。他のクリエイターと自分を区別するものが何かを、より明確に理解できるようになりました。これは、今後のキャリアを進め、自分自身の位置づけをしていく上で特に価値があると感じています。
さまざまな業界の専門家やアーティストとの対話の機会を数多く経て、閉じた環境を超えて異なるバックグラウンドを持つ人々と交流すると、自分がどこに属しているのかがより明確に見えてくるものです。
これがプログラムやコンペティションだけの成果だとは言いません。この方法自体は、前からずっと存在していたものだと思います。しかし、FFPのインキュベーション期間と最終プレゼンテーション・審査の場は、自分がキャリアで追求したい方向性を再確認させてくれました。
ーー今後の自分自身の展望や、社会への想いを聞かせてください。
コミュニティの価値を認識したため、今後はそれを基盤に活動を広げていきたいと考えています。
コラボレーションを中心に据えた、新しいファッションの作り方を模索しています。創造力を結集することで、より大きなインパクトを生み出すことができるはずです。プロとしてのキャリアを築きながら、孤立した道ではなく、他の方とともに歩む機会を見つけていきたいです。
自分の作品を通じて人々の感情的な反応を引き出そうとすることで影響を生み出せると考えており、この自分の直感を信じています。単にステータスを示すのではなく、着る人が密に体験し、個人的なつながりを育むような服をデザインすることは、私にとって大きな挑戦となります。
梅宮 青 / Ao Umemiya
作品名:MUSUHI
ーーFFPを通して最も印象に残っていることは?
「暗闇にボールを投げ続ける」という言葉。講義の中でこの言葉を聞いたときをきっかけに、「正解も受け手もいない中でモノづくりを続けていいんだ。」と前向きに事実を捉える勇気をもらいました。今評価されている事だけが正しいとは限らない。現在、当たり前とされている事に疑問を持ち周りの目に負けずに提案し続ける事が、新しい何かを生み出すきっかけになるのならば、勇気を持って行動してみようと思えました。今回纏う事で会話するきっかけになるような衣服を制作し、FFPを機に何も見えない暗闇にボールを投げ始めました。これから少しでも多くの方にこれらのボールが届くことを願い、これからも投げ続けたいと思います。
ーーFFPに参加して、自分自身に起こった変化は?
何かを強く想うことで、他の何かを傷つけてしまうかもしれない。ソーシャルレスポンシビリティについて詠うことは簡単でも、実際に多くの人に作品を通して伝えることはかなり難しいということを学びました。伝えたいことが明確で形にすることができても、バランスが良すぎたら多くの人には伝わらない。ファッションデザイナーは衣服をデザインするだけではなく、情報もデザインしなければならない。想いが伝わらなければ試行錯誤し制作した作品もただのゴミになってしまう可能性すらある。表面的な作品にしたくない、社会と繋がりを持ちたいと強く想うからこそ、そのバランスが難しかったです。FFPを通してこの事実に気づくことができたことが一番の収穫でした。
ーー今後の自分自身の展望や、社会への想いを聞かせてください。
環境問題について向き合い続けるなかで、衣服に想いを乗せて発表するだけではなく、その背景に着目した展示や企画を作りたいです。ファッション業界に限らずアパレル産業の環境問題は衣服を纏い消費のサイクルにいる全ての人に関係があると思います。いつのまにか身も心も消費サイクルの中にいるという、その事実を流すのではなく、しっかりと受け止めどう行動していけばいいのか道標になるような提案を社会にし続けたいです。
エミリー・ミサキ・ホン / Emily Misaki Hon
作品名:遺物 – Relics
ーーFFPを通して最も印象に残っていることは?
FFPの中で特に印象的だったのは、講義期間中の学びでした。それは私にとって、作品にとどまらず、マインドセットや哲学をも形作るものでした。内容と伝え方の両面を通じて、異なる分野の講師の方々、そして運営チーム全体から、深い配慮と意図を感じました。この育成的な環境で、講師自身の作品や経験を通じてファッションの力について一貫して示し続け、アートや個人の声がいかに社会や文化に影響を与えうるかを学ぶことができました。
自身の技術の奥深くまで探求を重ねながらも、より責任ある未来を築くという共通した情熱をもつ講師の皆さんから学ぶことで、社会的責任についてより批判的に考えるようになりました。彼らの指導により、自分の作品が伝えるメッセージを意識するとともに、その目的を製作プロセスの中心に据えるようになりました。もう一つ印象的だったのは、世界中から集まった参加者たちに刺激を受けたことです。彼らの異なる物語や視点に触れながら、コミュニティと共に成長しているという実感がありました。
ーーFFPに参加して、自分自身に起こった変化は?
FFPに参加して、私の視点は大きく変わりました。
プログラムに参加する前は、伝統的な教育の範囲でしかファッションに対する理解を持っておらず、デザイナーとしての明確な方向性や自分自身の声を見つけることに苦労していました。FFPでの講義や経験を通じて、ファッションをより広く、包括的に捉える視点に出会いました。それは、服を作ることを超えて、社会に意味深い影響を与える可能性を持つ、というものです。
このプログラムによって、大学で学んだ知識と、実際に影響を及ぼす対象である現実世界との間にあった隔たりが埋まり、理解と共感力の両方が身につきました。
より深く認識するようになったのは、ファッション産業が環境や人々の生活に与える影響、そしてデザイナーが背負う決断の重みです。FFPのおかげで、自分が進みたい方向性への、現実的な道筋を明確にすることができました。この経験を経て、自分の哲学がより明確になり、責任の重さをより自覚したため、今後は人々と真につながり、意味のある変化を促すような作品を作りたいと考えています。
ーー今後の自分自身の展望や、社会への想いを聞かせてください。
将来の目標と理想のデザイナー像として、FFPで学んだことを胸に、単に服を作るだけでなく、社会に意義ある貢献をするデザイナーとして成長し続けたいと思っています。ファッションという表現手段を使って対話を生み出し、従来の視点を見つめ直し、業界や社会が抱える課題を問いかけていきたいです。
自分の作品を通じて、内省や対話、気づきを促し、ファッションがより深いレベルで人々の心に響くようにしたいと考えています。つながりを生み出し、前向きで責任ある変化に貢献するような作品を作り続けるため、挑戦していきたいと考えています。
ゲラルト・ブラントシュテッター / Gerald Brandstätter
作品名:再び咲く / イタドリ – ReBloom / Itadori
ーーFFPを通して最も印象に残っていることは?
FASHION FRONTIER PROGRAMに参加する機会をいただけたことに、心から感謝しています。どの講義も刺激的で、自分の作品を見つめ直し、磨き上げ、創造的にも概念的にも成長することができました。特に印象に残っているのは、中里唯馬さんの「デザインすることは、暗闇にボールを投げるようなもの」という言葉です。この言葉は深く私に響き、制作プロセスを通じてずっと心に留めてきました。
FFPを通じて、自分のアイデアを信じること、そして疑念に襲われ進展しているか不安に感じられたり不可能に思えたりする瞬間でも、それを発展させ続けることを学びました。このプログラムは、困難に直面しても前進していく自信を強めてくれました。特に意義深かったのは、東京で実際に他のファイナリストたちと対面でアイデアを交換できた経験です。私たちに共通する好奇心、オープンな姿勢、そして互いに支え合う感覚が、この経験を真に特別で忘れられないものにしてくれました。
ーーFFPに参加して、自分自身に起こった変化は?
FASHION FRONTIER PROGRAMに参加する前は、自分のアイデアが実験的、またニッチすぎて、これ以上追求すべきものなのかと疑問に感じることがよくありました。FFPを通じて、この不確かさは、より強い目的意識と覚悟へと変わりました。自分のコンセプトを発展させ続けること、そして変化するファッション界の中でそれが持つ意義を信じようという意欲が強くなっています。
さらに重要なのは、ファッションシステムとデザイン思考の両方における変革が不可欠になっている認識が強固になったことです。他のファイナリストたちがサステナビリティをトレンドとしてではなく、深いデザイン戦略として捉えているのを見ることは、とても刺激的で新たな気づきを与えてくれました。それは私にとって、素材、プロセス、そして責任についてより包括的に考えるきっかけでした。
FFPを経て、実験性、責任、そして長期的思考を含むファッションの未来に貢献することにより、デザイナーとしての自分の価値観を確信し、より自信を持てるようになりました。
ーー今後の自分自身の展望や、社会への想いを聞かせてください。
今後、侵略的で問題視される植物を価値ある資源として活用する、というコンセプトを発展させ続けたいと思っています。このアプローチは、FFPでの経験を通じて強く後押しされました。これらの植物を廃棄物としてではなく、より持続可能なデザインの実装への貢献性が高い素材として捉え直す、ということに、大きな可能性を感じています。
私の目標は、環境保護、生物多様性の保全、そしてファッションデザインの交差点で活動し、自分の実践を通じて既存のシステムに疑問を投げかけ、再生的な代替案を提案することです。最終的には、エコロジカルな責任、実験性、そして長期的なインパクトを重んじるファッションの世界に貢献したいと考えています。
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