FASHION FRONTIER PROGRAMは12月13日、2025年度の最終審議と授賞式を、東京・虎ノ門ヒルズのTOKYO NODE HALLで行いました。社会的責任と創造性を両立するファッションデザイナーを育成・支援するFASHION FRONTIER PROGRAMは今年、開始から5周年という節目の年です。今回は5周年を記念し、初めて一般客にもプレゼンテーションと授賞式が披露されました。会場となったTOKYO NODE HALLは、虎ノ門ヒルズステーションタワーの46階。作品の背後にあるガラスの壁越しには、流行や消費の中心地である東京の街が眼下に広がります。

4月から応募を受け付け、書類審査、エデュケーションプログラム、中間審査を経て、作品を完成させた8名のファイナリストは、緊張と自信をまといながら、最後のプレゼンテーションに臨みました。
2025年度のファイナリストと作品名は以下の通りです。
Alicja Kamaj(アリツィア・カマイ):『Surrender(身を任せる)』
Ao Umeiya 梅宮 青(うめみや あお):『MUSUHI(むすひ)』
Emily Misaki Hon(エミリー・ミサキ・ホン):『Relics(遺物)』
Gerald Brandstätter(ゲラルト・ブラントシュテッター):『ReBloom / Itadori(再び咲く / イタドリ)』
Hideki Morimoto 森本 秀樹(もりもと ひでき):『OSHIRASAMA(オシラサマ)』
Hikari Hayashi 林 ひかり(はやし ひかり):『Reframing』
Kazusa Horikawa 堀川 和紗(ほりかわ かずさ):『suku(すく)』
Nao Taki 滝 直(たき なお):『Wrap me up !』
▼ファイナリスト8名の作品(左から作者:滝 直さん、アリツィア・カマイさん、ゲラルト・ブラントシュテッターさん、林 ひかりさん、森本 秀樹さん、梅宮 青さん、堀川 和紗さん、エミリー・ミサキ・ホンさん)

2025年度の審査員は、中里唯馬さん(ファッションデザイナー)、寒川裕人さん(現代美術家)、栗野宏文さん(株式会社ユナイテッドアローズ上級顧問クリエイティブディレクション担当)、五箇公一さん(国立環境研究所生物多様性領域特命研究員)、宮田裕章さん(慶應義塾大学医学部教授)、渡辺三津子さん(ファッションジャーナリスト)、サラ・ソッザーニ・マイノさん(Sozzani財団クリエイティブディレクター)、ナニーヌ・リニングさん(スカピノ・バレエ・ロッテルダム アーティスティックディレクター / オペラディレクター)です。


最終審議は白熱し、終了予定時間が迫る中でも、議論は尽きませんでした。

今回の作品とプレゼンテーションに加え、「ファッションデザイナーとしての将来性は?」「服作りへの情熱が未来にわたって継続されるか?」と、ファッション産業の未来を託す人材を選出する責任に対しても言及されました。

Grand Prize(グランプリ)に選ばれたのは、林ひかりさん『Reframing』。
▼グランプリ 林 ひかりさん 「Reframing」


子供服をほぐし、大人でも着られる衣服へと再構築/アップサイクルした作品です。「身体と服の関係性を深く思考したうえで、新しい美をつくり出していく感性が素晴らしい」(渡辺さん)、「新しいアップサイクルの手法を見せた。視点の多角性が強み」(栗野さん)、「モデル選びやスタイリングまで、世の中にどう伝えるのかというコミュニケーション能力が高い」(中里さん)と評価されました。さらに、今後も服を作り続ける意思が感じられること、美やクリエーションを追い求める〝タフさ〟など、ファッションに向き合う姿勢に対しても期待を込めたグランプリへの選出でした。
Runner-up(準グランプリ)に選ばれたのは滝さん『Wrap me up !』と、エミリーさんの『Relics(遺物)』です。
▼準グランプリ 滝 直さん 「Wrap me up !」


服を着る楽しさを、残糸を使ったカラフルなニットウェアで表現した滝さんは、サイズやジェンダーへの視点の新鮮さ、スタイリング次第で新しい表現が可能というユニークさが選出のポイントとなりました。「身体の上でどう表現するか、造形感覚に優れたものがある」(渡辺さん)などと評価されました。
▼準グランプリ エミリー・ミサキ・ホンさん 「Relics(遺物)」


エミリーさんは、祖父の遺した服を思い出とともに再構築した作品を作り上げました。「個人的なストーリーが込められた服。ユーカリと菌糸レザーをつなぎとめたプロセスは、広げられる可能性がある」(ナニーヌさん)、「ポエティックな感覚に惹かれる」(渡辺さん)、「パーソナルなテーマが響く」(栗野さん)など、個人の思い出を拠り所としながらもすべての人に通じる普遍性を備えた、力強いメッセージを持った作品として評価されました。

FASHION FRONTIER PROGRAMは単にクリエーションを競うアワードではなく、社会的責任についての考察や思慮が求められます。多様な社会課題が顕在化する現代社会の中で、どんな課題を自分事とし、さらにファッション作品として落とし込めるか。難問ではありますが、FASHION FRONTIER PROGRAMはプログラムを通じて伴走してくれるクリエイターや専門家、パートナー企業の存在があります。さらに、ともに学ぶファイナリスト同士の切磋琢磨も、作品やコンセプトに磨きをかけたことが、ファイナリストのプレゼンテーションでも語られました。
授賞式が始まる頃には日が暮れ、東京の美しい夜景が作品の背後を彩りました。

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