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FFP2025 ファイナリスト プログラムを終えて|後編

FFP2025 ファイナリスト プログラムを終えて|後編

前回の記事に引き続き、ファイナリスト8名それぞれの軌跡を描いた動画とともに、プログラムの半年間を振り返り、デザイナーとしての今後に想いを馳せたコメントをご紹介します。

一人ひとりの歩みと決意が込められた内容となっておりますので、ぜひお読みください。

 

まだお読みになられていない方は、ぜひ前編も合わせてお読みください。

森本 秀樹 / Hideki Morimoto

 

作品名:オシラサマ – OSHIRASAMA
ーーFFPを通して最も印象に残っていることは?

 

ユイマさんから頂いたシルエットと人の体の向き合い方についてのアドバイスです。今まではシルエットはデザインを表現する際の土台というイメージで、時代背景やデザインソースからの着想や意図があれば、そのシルエットを構築する理由になっていると思っていました。しかし今回、生地が体から離れたデザインにするにあたり、重力に反発するだけの強いメッセージがそのシルエットにあるのか問われました。デザイン先行で服作りをするのではなく、着る人の感情を表現する為に必要かどうかを考える。という今までになかった視点に気づくことができ、人がいてこその服ということを改めて実感しました。

ーーFFPに参加して、自分自身に起こった変化は?

 

播州織を守りたいという想いで活動をしていますが、実際に播州織の技術を守っていくのは現場の職人さんという点にギャップを感じていました。ですが、 伝統は守ろうとするばかりでなく、新しいあり方を生み出し続けることで自ずと続いていくという渡邉さんのアドバイスが印象的でした。新しいものを作り続けられる環境の一端を担えれば、自分の活動を通して播州織を未来につなぐ貢献ができているのではないかと思えるようになりました。

ーー今後の自分自身の展望や、社会への想いを聞かせてください。

 

食は産地のものを少し高くても食べてみたいという欲求が多くの方にあるように、服も産地のものを高くても着てみたいと思ってもらえるような考えが定着していって欲しいと思っています。そのためには播州織に限らず、服を通して日本の素材の魅力を発信していけるような活動を続けていきたいです。

林 ひかり / Hikari Hayashi

 

作品名:Reframing
ーーFFPを通して最も印象に残っていることは?

 

FFPに参加したことで、ものを作る際の思考のあり方が大きく変化しました。序盤に鑑賞した映画『燃えるドレスを紡いで』を通して、それまで自分の知らなかった世界や価値観に触れ、無自覚のまま制作していたという事実に強い衝撃を受けました。同時に、その姿勢を改めなければならないと感じ、自身の制作態度を見直すきっかけとなりました。FFPでの学びを重ねる中で、完成物だけでなく、そこに至るまでの思考や選択、プロセスそのものに向き合うようになり、ものづくりに対する根本的な考え方が更新されたと実感しています。

ーーFFPに参加して、自分自身に起こった変化は?

 

審査員の方からの講評を通して、人の心を動かすためには、作り出したモノそのものにエモーショナルな力が宿っているかどうかが重要だと実感しました。ただバックグラウンドやコンセプトがあるだけでは不十分で、それを今の時代性とどう結びつけ、どのように読み取り、再構築するかが問われていると感じました。

講義や技術的なアドバイス、自身の制作を通しての試行錯誤に加え、審査員や講師、他のファイナリストとの交流の中で、多様な視点や思考に触れ、自分の表現を社会の中でどう位置づけるかを考える意識が強まりました。

ーー今後の自分自身の展望や、社会への想いを聞かせてください。

 

私は常に新しいものを作り続けたいと考えていますが、私にとっての「新しさ」とは、全く新規のものを生み出すことではなく、すでに存在しているものの見方や視座を変え、別の意味へと変換することだと思っています。

服という枠組みに留まらず、その人がまとう空気や佇まい、記憶までも含めた「在り方」としてのファッションをデザインしたいです。

いまは自分自身のワークや思考の幅を広げる大切な期間だと捉えており、分野や手法に縛られず挑戦を重ねながら、表現の可能性を更新し続けるデザイナーでありたいと考えます。

堀川和紗 / Kazusa Horikawa

 

作品名:すく – suku
ーーFFPを通して最も印象に残っていることは?

 

制作を通して、服づくりはもっと自由でよいのだと実感したことが、印象に残っています。越前和紙という素材に向き合う中で、既存の技術や専門性に依存せず、自分の身体感覚を起点に試行錯誤していくこと自体が制作になると感じました。

また、ファイナリストそれぞれが異なる方法で制作し、楽しみながら手を動かしていた姿を見て、服づくりのあり方は一つではないと思いました。

安価で簡単に服が手に入る現代では、捨てることも容易になっていますが、自分の身体を通してつくる経験が増えれば、物との関係も変わるのではないかと感じています。

そして、講師や審査員の方々から分野を越えた意見をもらえ、制作の捉え方や進み方が広がりました。

ーーFFPに参加して、自分自身に起こった変化は?

 

FFPを通して、社会と自分の視点のどちらかに寄せて答えを出すのではなく、その間で迷い続けながら制作することを、より選べるようになりました。

多くの人が共有している普遍的な問いや違和感に対しても、「正しさ」や「共感されやすさ」ではなく、自分がどの位置からそれを見ているのかを掘り下げ、形や言葉としてどう差し出すかを考えるようになったと感じています。

同じ社会問題意識を持っていても、制作の立ち上がり方や、手が止まる場所は人それぞれ違っていました。

その経験を通して、自分の視点や制作の揺らぎを弱さとして処理せず、そのまま作品に含めてよいのだと受け止められるようになったことが、大きな変化です。

ーー今後の自分自身の展望や、社会への想いを聞かせてください。

 

流行や新しさだけが価値として消費されていく速度の中で、壊れることや変わっていくことを欠陥ではなく、時間の痕跡として受け止める衣服を作り続けたいです。

また、人が抱える違和感や不完全さを否定せずに置いておける視点を静かに共有し、立ち止まる余白や、その人自身の物語を内包していく衣服の営みを社会に提示していきます。

速さや正解に回収されない在り方を、衣服という身近な存在を通して問い続けていきたいです。

滝 直 / Nao Taki

 

作品名:Wrap me up !
ーーFFPを通して最も印象に残っていることは?

 

FFPを通して最も印象に残っているのは、参加者それぞれの制作プロセスや考え方に触れられたことです。同じ「ファッション」を軸にしていても、出発点や重視している点、制作の進め方は人によって大きく異なり、その多様さに強い刺激を受けました。他の参加者の発想や試行錯誤の過程を知ることで、制作には正解が一つではないことを実感し、自分の制作スタイルを相対的に見つめ直すきっかけにもなりました。さまざまなプロセスを知れたことが、自分の表現の幅を広げる大きな学びになったと感じています。

ーーFFPに参加して、自分自身に起こった変化は?

 

FFP参加前は、主に表現やコンセプトの面から制作を考えることが多く、環境への影響については十分に意識できていない部分がありました。しかしFFPでの講義や対話を通して、ファッション業界が環境に与える負荷の大きさを知り、制作に対する視点が大きく変化しました。素材選びや制作方法、ものづくりの姿勢そのものが社会と密接につながっていることを実感し、今後は表現性だけでなく、環境への配慮も含めた制作を意識したいと考えるようになりました。この意識の変化は、自分の制作をより広い視点で捉えるきっかけになったと感じています。

ーー今後の自分自身の展望や、社会への想いを聞かせてください。

 

今後は、服が人々の日常や気持ちにどのように寄り添えるかをより深く考えた制作に挑戦したいです。着る人の身体や状況、感情に自然に寄り添い、少し前向きな気持ちを生み出せるようなデザインを発展させていきたいと考えています。表現としての強さと同時に、実際の生活の中で機能し続ける服を提案できるデザイナーになることが目標です。

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