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色、素材、意志―審査員が伝えた、ファイナリスト8名に託す未来

FFP中間審査|色、素材、意志―審査員が伝えた、ファイナリスト8名に託す未来

1次審査を勝ち抜いたセミファイナリストが、それぞれの企画をさらにブラッシュアップさせ、9月下旬の中間審査に臨みました。セミファイナリストは、日本だけでなく、ヨーロッパ、アジア、オセアニアからと、国際色豊かな16名。伝統産業や伝統文化を未来へつなぎたいという願い、廃棄される素材や原料に新しい命を吹き込む工夫、自分や家族の思い出を大切にする気持ちなど、サステナビリティの観点と、クリエイティブなアイデアを両立させたデザインの構想を発表しました。

 審査会の会場は、東京・国立新美術館。2025年度の審査員は、寒川裕人さん(現代美術家)、栗野宏文さん(株式会社ユナイテッドアローズ上級顧問クリエイティブディレクション担当)、五箇公一さん(国立環境研究所生物多様性領域特命研究員)、宮田裕章さん(慶應義塾大学医学部教授)、渡辺三津子さん(ファッションジャーナリスト)、サラ・ソッザーニ・マイノさん(Sozzani財団クリエイティブディレクター)、ナニーヌ・リニングさん(振付師、オペラディレクター)そして、FFPの発起人でもある中里唯馬さん(ファッションデザイナー)です。

 

2時間に及ぶ熱のこもったプレゼンテーションののちに行われた審査会では、審査員それぞれの専門的な知見や美意識をもとに意見を交わし、8名のファイナリストを選出しました。選出されたのは以下の皆さんです。

 

 

Alicja Kamaj

Ao Umemiya / 梅宮青

Emily Misaki Hon

Gerald Brandstätter

Hideki Morimoto/ 森本 秀樹

Hikari Hayashi / 林 ひかり

Kazusa Horikawa / 堀川 和紗

Nao Taki / 滝 直

 

 

審査員はファイナリストに選んだ作品の、どこに注目し、どのような点を評価したのでしょうか。

 

まず、審査員が着目したのは、デザイナーがその作品を作る必然性です。どこに暮らし、何を思い、どのような視点で社会を捉え、作品に落とし込んだのか。作品のテーマやプレゼンテーションに対する質問の中で、その意志や一貫性が問われました。「なぜそのフォルムなのか」「その素材を選んだ理由は」「最も伝えたいメッセージは何か」など、発想や作品の根源を問われるシーンが多く見られました。

また、それぞれのデザイナーの色彩感覚も重視されました。表現しようとするテーマや、作品のコンセプトと色の選択がどのように結びついているか。新鮮で引き付ける力のある色の発見や、配色への意志が評価につながりました。

 

 

 

「今年は明るい色、新鮮な色が出てきた」(寒川さん)、「エコを考えると土っぽい色になりがちだが、華やかな色が良かったと、直観的に思う」(五箇さん)など、色の提案が多彩になったことは、今年の傾向としてポジティブにとらえられました。「調和を求める気持ちが美しい色彩感覚として表れている。それがアーティスティックであり、見る人の気持ちを揺さぶる」(宮田さん)と評価された作品もありました。

 

 

 

 加えて、素材の選択についても多くの意見が交わされました。紙という、脆く、儚い素材を舞台衣装という特殊な文脈で強みに転じる発想や、外来種の植物をファッションの素材として生まれ変わらせるという着眼点も評価されました。また、子供服という、自分の選択ではなく誰かから与えられたもの、転じて、祝福の象徴としての衣服を解体し、再利用するという、記憶を現在・未来へとつなぐ取り組みも注目されました。

制作にかかる時間や手間が度を超えていないか、人が着られる重さになるのかなど、現実的に作品として完成させられるのか、服としてのリアリティーがあるのかなども、プレゼンテーションで問われました。一方で「着る側のクリエイティビティも発揮できそう」(渡辺さん)と、服として仕上がった先まで見据えたアイデアも注目されました。さらに、 「自分自身を徹底的にモニター化して深掘りし、ほかの人との共通の〝解〟を見つければ説得力が増す」(栗野さん)、「設定をさらに練り上げ、世界観を作り上げた方が伝わるようになる」(宮田さん)など、より良い作品にするためのアドバイスも出されました。

 

 

 

 惜しくもファイナリストに選ばれなかったデザイナーも、材料への追求力や、フィールドワークの熱量が評価されていました。ただし、全体的に「素材に対するパッションと服に対するパッションにバランスが取れていないのでは」など、「マテリアル重視になりがち」という課題が複数の審査員から指摘されました。

 

 

 ファッションの消費・廃棄のサイクルが速まっているのと並行し、伝統技術や文化は衰退し、環境問題は深刻さを増しています。今回参加したデザイナーは現状に危機感を抱きながら、それをファッションの力で変革すべく、思考や行動を重ねたことがひしひしと伝わるセミファイナルのプレゼンテーションでした。ただ、参加デザイナーの水準は回を重ねるごとに上がっています。ファイナリストに選ばれた皆さんは、思考や行動を重ねたうえでコンセプトを深掘りし、試行錯誤を重ね、審査員に新鮮な印象や驚きを与えたデザイナーだったといえるでしょう。

 

ファイナリストはこれから、専門家のアドバイスや制作費用のサポートを受けながら作品を完成させ、12月に東京で行われる最終審議会に挑みます。

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