
「ファッションを通じて学校生活をよりよくする制服」
制服は「公平」だが「個性」を殺す。
学校は社会の縮図を学ぶと同時にアイデンティティを身につける場所。
「自分らしさ」を武器にし、性別や体型に媚びない制服は「正義」だ。
「公平」「正義」「あなたを見つめる」が花言葉のルドベキアをモチーフに、自分らしさを纏う制服をデザインした。ジッパーでズボンにもスカートにもなり、ギャザーでどんな体型にも対応する。
真っ白な制服は学生時代の経年変化の汚れ自体が個性の象徴となる。
リサイクルナイロンは鞄にもマフラーにもなり、学生として必要な機能に、個性の昇華と強さを加えた。
評価:中学生の頃から独学で服作りを学び、これまでに80着以上も服を制作してきました。また、高校1年生の時にイギリスへ留学した際に、自分自身がマイノリティであるということを感じ、その事が今回の作品のインスピレーションとなっています。自身の実体験を元に、独自に道を切り開く行動力は、困難を乗り越え、新しい領域を開拓する原動力となると評価されました。

「DUST」
捨てられる糸屑は、様々な種類の糸や色が混ざり合っていて、それらはとても美しく宇宙や自然の創造物のようです。
かつて服であった糸屑を集めて再度衣服への再構築を試みています。
1日100回、3ヶ月で約1万回一本一本はた結びで糸屑を繋げた糸を作り、宇宙や自然の創造物をイメージして製作しました。
評価:以前の職場であった、繊維の検査機関で不要になった糸くずに美しさを見出し、それらを生かした服作りを始めます。服が出来上がるまでの過程で発生し、捨てられてしまうものから服を生み出すという独自の美意識と、最終的にそれを衣服のデザインとして美しいものに昇華させるセンスが評価されました。

Runner-up:和田 由里子 | Yuriko WADA
「MUSUBU」
ファッション同様にグラフィックデザインを支える生産活動は、長らく大量生産・大量消費構造に組み込まれてきた。これからの時代において、限られた資源をどう使っていくのかが問われている。
本作品は、会期を終えて役割を失ったチラシなどを貼り合わせ、積層、結晶化させた素材と生産の中で出る余剰糸や紐を組み合わせて衣服に仕立てた。
アクセントになるビーズは人々の経済的営みによって生み出される「社会的人工鉱物」と定義し、紙の役割を「メディア」にではなく「マテリアル」として紙の新たな可能性を提案している。
評価:グラフィックやタイポグラフィーを学び、紙と印刷を中心とした様々な活動をベースに、ファッションの枠に捉われない自由な発想でクリエイションを行なっています。結んだり解いたりすることで変化する造形の面白さや、破棄されてしまうものを美しい素材に生まれ変わらせるセンスに評価が集まりました。
場所:国立新美術館エントランスホール(六本木駅徒歩5分、乃木坂駅直結)
期間:2021日12月1日(水)〜12月13日(月) ※火曜休館
開館時間:10:00-18:00
(チケット不要でどなたでもご覧いただけます。)
様々な方、企業、団体のサポートをいただきスタートしたFFP 2021も、無事に初年度を終えることができました。FFPは、参加者だけでなく、すべての人が共に衣服について学び、考え、やがて衣服に対する意識が社会全体で向上していくこと目指しています。さらなる学びのため、FFP 2021受賞者3名の「インキュベーション」への参加、のファイナリスト8名の「ラボ」への参加含む、FFP 2022に向けて動き出します。詳細については追ってご案内いたしますので、FFPの発展にご期待ください。