各セミファイナリストの作品のドローイングや、作品を象徴するイメージ画像とご一緒に、プロフィールをご紹介します。
各作品や応募の動機に込められた想いを、ぜひご覧ください。

Aki Ito / Japan
衣服という小さな空間で社会のためになるものを作りたいです。
私は15歳の時、宮城県で東日本大震災を経験し、避難所での生活も体験
避難所には人があふれ、“自分の居場所”がどこにもない。
持てるものが限られる中、「衣服が自分の空間になればいいのに」と思いました。
今、首都直下型地震のリスクが迫る中、さっと羽織れて、美しく、安全に逃げられる服。
命だけでなく、尊厳と精神を守る服を作りたいです。
この「シェルター服」は、避難所生活の課題を、衣服で緩和する提案です。
そして、衣服が持つ可能性と力を、社会に認識してもらえるような作品にしたいと考えています。
また、「避難」に、機能だけでなく“文化的尊厳”や“美意識”を宿すことができるか?という問いでもあります。
空間をつくってきた私だからこそ、
衣服を「身体に最も近い空間」として捉えなおし、 社会との接続を再構築することができると思っています。

Alicja Kamaj / Poland
私は、デザイナーやアーティストとしてだけでなく、
「意識的な人間」としても成長できる場を探し求めています。
芸術的価値観と倫理的価値観の両方を共有できる場所だからこそ、FFPへの応募を決意しました。
「もう服は必要ない」とよく耳にします。その意見には同意します。
でも、私はこう付け加えたいのです。「もう“悪い服”はいらない」と。
私たちには、トレンドやアルゴリズムに支配された、すぐに捨てられてしまうファッションは必要ありません。
サステナビリティとは、感情に訴えかける、タイムレスで、良く設計された服づくりから始まると私は信じています。
人々が手元に残したいと思える服こそ、意味を持ちます。
「機能性」とは、パフォーマンスだけではなく、感情的なつながりや美しさもまた、機能だと考えています。
私のデザインを身につけることで、人々が自分のアイデンティティを表現したり、あるいはそれを築く助けになればと願っています。

Ao Umemiya / Japan
4年間学び続けたテキスタイルの知識と技術をより深く捉え、
強い社会性を持ちながらファッションに昇華していくために、幅広い視野を持ちたいです。
届けていきたいものと社会とのバランスに常に向き合い、
形にしていくことをこのプログラムで実現したいです。
学生時代、日本のテキスタイル産地に足を運びその知識の質と技術に圧倒されました。
この感動を未来に残していきたい、
近年仕方なく衰退しつつあるこれらの素晴らしい技術を、
デザインの力で根強くこの世界に残していきたいという思いが強く芽生えました。
テキスタイルがあっての服という意識が私の中心にあります。
一本の糸からこだわり、布を美しく見せる服、布が美しく見える服を
これからも作り続けたいです。

Benjamin Sindelar / Czech Republic
私の目標は、アイデンティティの表現であると同時に、
適応力・回復力・持続可能性のツールとして機能するモジュラーで多機能なガーメントを開発することです。
私の作品は、三國寿子、田中一光、瀬瀬子恒による『日本の暮らしの精神(Ethos of Japanese Life)』に基づく「コンパクトカルチャー」のデザイン原則に影響を受けています。
この原則は、文化的に根ざした高性能システムの創出に私のアプローチを導いています。
アップサイクル素材とゼロウェイスト技術を用いることで、
環境負荷を最小化しつつ機能性と美的価値を最大化することを目指しています。
さらに、多様な体型やジェンダー表現に対応する適応可能なサイズ展開や多機能性により、
インクルーシブなデザインを追求しています。
FFPを通じて、持続可能なデザインに関する議論に意義ある貢献を果たし、
社会の変化するニーズに応える革新的な解決策を開発していきたいと考えています。

Emily Misaki Hon / Australia
私のすべての作品を通して、時を経て受け継がれた風合いを想起させ、
美、記憶、そしてイメージを内省的に捉えることを目指しています。
手作業による作品を通して、伝統的な技法と現代的な感性を融合させ、
美、家族、そして自己に対する様々な解釈を巡る、
絶え間ない対話を映し出す静かな物語を紡ぎ出したいと考えています。
また、ファストファッションと自動化が蔓延する現代において、職人技とクラフトマンシップの重要性を伝えたいと考えています。
人々は、制作の各段階を目の当たりにし、理解し、
真の品質とラグジュアリーを支える職人技と労働力を高く評価することができます。
価値を持つのは、完成した衣服だけではありません。
一つ一つの工程に込められた物語、ディテール、そして丁寧な配慮こそが価値なのです。
職人同士の協働、コミュニティの構築、そして知識、技術、そして工芸の継承を支援することが、私の活動の中心です。

Gerald Brandstätter / Austria
私は、無視され、廃棄され、価値がないと見なされている資源に取り組んでいます。
そこには、計り知れない創造的かつ生態学的な可能性が秘められています。
制御不能に広がり、在来種を駆逐し、脅かす、外来植物の研究を始めました。
環境団体によると、これは地球規模の生物多様性にとって最大の課題の一つとなっており、
公式な措置として焼却、破壊、そして処分されています。
これらの不要になった植物を、貴重な資源として再生させることを目指しています。
当局や保護団体と協力し、原材料としての可能性を最大限に引き出す計画です。
環境に配慮したプロセスを通して、これらの植物から繊維を抽出することに成功しました。
自然との敬意あるバランスを築き、生物多様性を保全することを目指しています。
かつては重荷とみなされていたものが、再び花開き、資源となり、形となり、
新たな価値と感謝の念を獲得します。
その変容の中で、和解の瞬間が訪れます。

Haruka Kurosawa / Japan
実現、表現したいことは、平和、混沌、優しさ、パワーです。
「私はあなたが大切です」ということの表明をしたいと思っています。
それは特定の一人ではなく、世界にはあなたを肯定する人がかならずいるということ、
そして私もその一人であるというようなニュアンスの思いがあります。
常に、生きる・死ぬということとは何かということなど考えていました。
日々、平和と争いが、細胞・身体・精神・社会・自然の中で起きていると思います。
そこにおいて、安定を希求し、「私はあなたが大切です」という振る舞いをすること自体、
他に目を向けていないことになってしまうという矛盾を自覚しつつも、
私は、両方を見つめて責任ある服づくりで、少しでも大きな流れの中に対して、波・流れを作りたいと思っています。

Hideki Morimoto / Japan
風土や歴史に培われた産地の素材には日本人にとって拠り所的な側面があり、
日常の中で触れることで無意識に民族的価値観を形成していると考えます。
しかしながら、産地の産業は衰退の一途を辿っており、私の地元である兵庫県西脇市周辺の播州織も例外ではありません。この技術が失われることは日本人としての価値観も一緒に失われていくような気がしてなりません。
昨今技術の発達と共に不可思議の領域は狭くなり、懐疑的な目を向けられることも多くなりました。
モノを大切にしないとバチが当たる。というような子供の頃に教わった迷信が薄れ、
生活の中で畏れを感じる機会が減ったことも消費社会を助長する要因だと考えます。
そこで、明治時代に急激な近代化の波にのまれる変化に警鐘を鳴らした
民俗学者の柳田國男が書いた遠野物語に現状を重ね合わせ、問題解決のヒントを求めます。
当時の遠野の暮らしには都市に住む人々が忘れそうになっていた神様や妖怪、不可思議が生活の中に当たり前に存在していました。
限られた資源を大切に使う遠野の暮らしや生き方に学び、現在の消費社会を見つめ直す機会になって欲しいと考えます。

Hikari Hayashi / Japan
私はこれまで、自身の日常から得た気づきや感情をもとに作品を制作してきました。
しかし、それらは「表現すること」で完結しており、次の展開や社会との接続を深く考えることができていなかったように思います。
今回のプログラムを通して、単なる表現にとどまらず、ファッションが未来を切り拓くための思考や仕組みづくりに挑戦したいと考えています。
現在、私は新社会人としての年を迎えました。まわりが社会に馴染んでいく中で、私があえて立ち止まり、今ここでクリエーションを続ける理由は、「消費されたくない」からです。大量生産・大量廃棄、そして一時的な流行によって、ものだけでなく人さえも消費されていく今、クリエーターが存在する意味は、「消費されないもの」をつくることにあると感じています。人の手間や時間が注がれたものには、使い捨てではない本来の価値が宿ると信じています。

Hiroto Waga / Japan
私が解決したい社会課題は、服に関連する様々な方面での分断です。
例えば、生産背景が不明瞭であることやファストファッションの普及で服が簡単に捨てられるようになったことによる、生産と消費の分断。
ブランドものを買う金銭的能力の有無や服に対する知識の有無などの個人的な分断。
体のプロポーションや人種などに対する劣等感などの心的分断などです。
この中で私は、服を何度も生まれ変わらせられるような構造にすることによって分断を繋ぎ止めることを目指します。
そしてそれによって、服の大量生産消費構造からの脱却と、人種などの内的な劣等感からの解放によって、真に平等で循環的な生産が可能な未来の実現のための糸口を示したと考えています。

Kamani Sulochana Senanayake / Sri Lanka
私が服で表現したいのは、心の平和やスピリチュアルな部分、そして自分らしさです。
ファッションはただ見た目じゃなく、エネルギーや気持ちだと思っています。人が自分や世界ともっと深くつながれるデザインを作りたいです。
私はスピリチュアルが好きで、ベジタリアンでもあります。
そのため、服がどう作られて、地球にどんな影響があるかも気にしています。ファッションは、大量生産大量廃棄のようなものではなくて、意味があって優しいものであってほしいです。
このプログラムでデザイナーとしてもっと成長して、いろんな人から学び、私のファッションに対する考えをみんなに伝えたいです。

Kazusa Horikawa / Japan
私はこれまで、“ファッションとは何か”“装うとはどのような行為か”を問いながら制作を続けてきました。
その中で、ファッションは単なる嗜好や自己表現ではなく、
自分を理解し、取り扱うための「ケアの行為」であり、未分化な感情や記憶を身体を通して扱い直すことができる媒体だと感じるようになりました。
しかし、かつて自分を守ってくれた服、身体の記憶が染み込んだ衣服ですら簡単に捨てられる現実に、違和感と悲しみを覚えました。
大量生産・消費の中で、私たちは物質だけでなく、そこに宿った時間や感情さえも切り捨てているのではないか。
この問いを起点に、“消費されたものを再生する”のではなく、
“咀嚼し、昇華する”ことを軸に据え、制作を続けてきました。
ファッションの速度や消費構造を鵜呑みにせず、身体感覚や素材との関係から価値の再構築を図る作品を通して、自然と共にある新たな衣服の在り方を提案したいと考えています。

Kosuke Iijima / Japan
私はカンボジアでの暮らしを体験した日本人のクリエイターとして、プラスチックが引き起こす地球規模の環境問題に対し、スペキュラティブファッションを通して衣服を「未来から現代を批評する問いの装置」として捉えようと試みました。
カンボジアに滞在していた際、道路脇やメコン川に漂うプラスチックごみの光景が強く印象に残りました。急速な経済発展と廃棄物処理設備の未整備により可視化されたその風景は、私にとって人新世の地層を想起する象徴的な原体験でした。帰国後、美術大学で制作する中で、プラスチック製品が再利用されず、ゴミ捨て場に残されている状況にも強い違和感を覚えました。ファッション業界においても、ポリエステルやナイロンといった合成繊維の大量生産が汚染産業と揶揄される要因となっており、プラスチックが引き起こす環境問題と密接に関わっています。

Nao Taki / Japan
ファッションにおいて最も大切にしているのは、「着ることが楽しくなる」体験です。
明るくポジティブな気持ちを引き出すことを目指し、
原色を用いた大胆な配色や、遊び心のある素材選びを積極的に取り入れています。
また、環境への配慮も服づくりの根幹にあります。
日頃から廃棄物を出さない制作を心がけており、
工場のあまり糸を用いてニットを編んだり、リサイクルセンターで見つけた木材やプラスチック素材を再利用したりしています。
デザイン面では、ジェンダーや体型にとらわれない服を好みます。
誰かを特定の枠に押し込めるのではなく、「誰でもそのままの自分でいられる」服を作りたい。
そうした思いから、身体のあり方に柔軟に寄り添うデザインを追求しています。
このプログラムを通して、
素材・社会・身体に対する自分なりの視点と技術をファッションのかたちで表現し、
より多様で自由な着る行為のあり方を提案したいと考えています。

Natalie Hutterer / Austria
私の作品は、既存のものから新しいものを創造するという理念に根ざしています。
その指針となるのは、「もったいない」と「わびさび」の原則です。
天然染料を使用することで、生物多様性の喪失、植物種の消滅、工業的農業と気候変動の影響について意識を高めることを目指しています。
天然染料は、工業的な着色の完璧さや均一性を模倣するものではありません。
むしろ、伝統的に「欠点」と見なされる色あせ、不均一さ、シミを強調します。
これらの要素は時間、場所、プロセスを明らかにし、それぞれのテキスタイルがその環境の独自の証人となります。
その結果生まれる色調とパターンは、人工的に制御されたものではなく、
ニュアンス、偶然、季節の変動に満ちた生き生きとしたものです。
ファッションは、消費や反復、グローバルな均一性ではなく、
個人の表現、記憶、地域性を伝えるメディアとなるべきだと信じています。
批判的思考、実験、社会参画に重点を置いたFFPの理念に惹かれています。
単なるインスピレーションとしてではなく、積極的な共創者として、
自然との協働を新たな形で探求していきたいです。

Song Seulgi / Korea
学校で量産向けの授業を受けながら、すごく責任を感じました。
ファッションを学ぶ学生なら一回くらいはこの責任感に出会うと思います。
ファッションは私の感情や記憶、考えの表現です。
歴史や伝統を活かし今の時代に繋いでいくこと。
環境を考え業界にとっていい影響になるものを作ること。
これらが自分がファッションを通じて実現したいものです。
一人にでも感動があるメッセージを伝えられるものを作って行きたいと思う中で、
悩みとなることがあります。
自分の制作活動をどうやって経済的な部分と繋げていけるか。
実際伝統工芸などを服の要素としてどう入れ込むのかのスキル的な部分。
また、デザインのオリジナリティをレベルアップすることです。
FFPへの学びは自分の人生のターニングポイントになると確信しています。
これから16名がどのように成長し、最終審査に向けて作品をどう仕上げるのか。
ぜひご期待ください。
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